歴史民俗博物館に行ってきた

千葉県佐倉市にある歴史民俗博物館の常設展を見てきたので、そのメモ。

展示内容

  • 展示室は、原始・古代、中世、近世、民俗、近代、現代の6つに分かれている。それぞれがとても広く、すべてをじっくり見学するには2〜3日は必要ではないかと思う。
  • 以下では印象的だった部分を一部紹介。

第1展示室 (原始・古代)

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↑ 過去5万年の日本列島における環境と人類の年表。9月に国立科学博物館で水月湖年縞の話を見てきていた こともあり、このあたりの話はよくわかった。

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↑ いかにもな感じの土偶。このあたりは歴史だけでなく美術の教科書にも載っていたりして、古代人の感性というのもなかなか捨てたものではないな、という感想。

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↑ 展示室と展示室との間にある休憩スペースに貼ってあった、博物館における研究を紹介したポスター。有機物であれば炭素の放射性同位体を調べることで年代測定ができるけれども、青銅器の場合には鉛の放射性同位体を調べることで、その原料産地が分かるらしい。博物館というと「市民に資料や展示を公開する場」というイメージが強いけれども、研究機関としての側面も持ち合わせているわけで、このあたりをもっと大々的にアピールしてくれたら自分などは喜んで見に行くな、と思った。休憩スペースに申し訳程度に展示するのでなく、専用の展示スペースがあってもよいのでは。

第4展示室 (民俗)

  • 今回歴史民俗博物館を訪れたのは、その名のとおり民俗に関する展示に期待してのことだった。ところが、民俗をテーマにした第4展示室に入るなり、三越 (かどこかその辺の大手デパート) の おせち料理 が大々的に展示されており、これが「展示」というよりも単なるデパートの一角のようになっていてがっかりした。このコーナーは撮影も禁止で、写真はない。
  • その奥に行くと、信仰や祭りなど、期待していたような民俗の展示があった。

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広島県庄原市の祭りである比婆荒神神楽で使われる龍。第4展示室では、この他に各地の土着信仰や観光葬祭、漁業や林業といった伝統的な職業に関する展示があった。このあたりはまさに自分が期待していた展示で、それぞれ特徴的でおもしろかった。

感想

  • とにかく広く、展示が豊富で圧倒された。ただし佐倉市という不便な立地で、何度も通うことは難しいのが残念。自分は第1展示室から順路にそってゆっくり見学してしまったので、最後の方はだいぶ駆け足になってしまった
    • 訪れた際には企画展示「大久保利通とその時代」も行われており、こちらも興味を引かれたが、そこまで見学するにはもう1日必要であった。
  • 第4展示室 (民俗) のおせち料理の展示だけは、何のための展示なのか、展示というよりも商品の宣伝をしたいのか、という感で残念だった。また、名前に「民俗」とつく博物館なのだし、民俗に関する展示スペースをもっと広くとってもよいのではないかとも思う。
  • 物販コーナーで、2008年に行われた企画展示である旅―江戸の旅から鉄道旅行へ―の図録が売られており、思わず購入してしまった。この企画展示は、江戸時代の徒歩による『旅』が、鉄道の開通によって『旅行』へと変化したが、そこで変わったもの、変わらないものを示したもので、ぜひ見学してみたかった。

参考文献