IoTLT vol.13 に行ってきた

IoTLT vol.13 に参加してきたので、おもしろかった発表をメモしておく。

iotlt.connpass.com

Matsumoto Noboru: IoT 時代のモバイルネットワーク

  • IoT を無線・ネットワーク屋さんの立場から見た LT で、「多数のデバイスから送出される制御信号が問題になる」という話があった。
    • 素人なので見当はずれなことを言っているかもしれないけど、IoT に特化した新たな無線ネットワークを用意して、たとえばデバイスごとに TDD*1 のタイムスロットを割り当てる、みたいなことを考えたら結構うまくいくのでは? と思った。産業用ネットワークみたいな感じで。

@yamacho1111: IoT で家庭内の問題を解決したい話

内容

  • 妻が戸締まりを忘れることがある → なんとかしたい
  • 対策その1: 鍵の開閉状態を記録したい
    • MESH → IFTTT → Google Spreadsheet とする
    • できた
  • 対策その2: 予定で戸締まりを管理したい
    • 鍵が開けっ放し → 妻の Google Calendar に「鍵を締める」という予定を入れる
    • 携帯を持ってなかったり気づかなかったりして微妙
  • 対策その3: 開閉状態を照明に反映する
    • HUE を使って、鍵が開いていたら照明が青くなるようにした
    • 今のところよさそう

感想

  • 今回いちばんおもしろかった発表。実際にやってみた話で、ちゃんと動いているのがよい。
  • 発表や話し方としても、オチがついていてよかった。

@tnoho: IoT をインターネット越しで見る

スライド: http://www.slideshare.net/tnoho/iot-59636293

内容

  • IoT: 分析系、監視系、制御系
  • 制御系がちゃんと動いたか心配 => その動作結果を監視系から見られるようにする <= よくある形
  • 「自分の目で確認したの?」 => 写真や動画で確認したい
  • センサを使った監視系ではなく、カメラで監視したい
  • WebRTC を使う
    • 設置とか超簡単なやつを用意した => Momo
    • RasPi と Web カメラを使って映像配信
    • 設置とか設定とかめっちゃ簡単

感想

  • 簡単に使える WebRTC ゲートウェイというのはよさそう。
  • Motivation の部分、「IoT の監視系の部分をセンサからカメラに置き換えて、エビデンスとしての写真 or 映像をとる」というのは、個人的にはやや理解しがたくもあるが……商用で物理的な動作を伴うアクチュエータを操作する、とかいう場合には必須なんだろうか。

@n0bisuke (@LIG): NodeBots

  • NodeBots の Intl. NodeBots Day に日本でも何かやろう、という話。

全体的な感想

  • DeNA のきれいな会場で、参加者も200人くらいとのことで、結構盛り上がっているようだった。
  • 懇親会は参加せず。
  • LT に参加するなら発表しなければ、という思いがあるので、そのうち何か作って登壇者として参加したい。

*1:Test-Driven Development ではなく Time Division Duplex のほう

萩に行って産業革命遺産を見てきた

2016-03-06から2016-03-09の4日間、山口県萩市に滞在した。とくに明治日本の産業革命遺産に関して中心的に見てきたので、それ関連のメモと感想。

明治日本の産業革命遺産とは

Wikipedia によれば、

明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業は、2015年の第39回世界遺産委員会でUNESCO世界遺産リストに登録された日本の世界遺産の一つであり、山口・福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島・岩手・静岡の8県に点在する。西洋から非西洋世界への技術移転と日本の伝統文化を融合させ、1850年代から1910年(幕末 - 明治時代)までに急速な発展をとげた炭鉱、鉄鋼業、造船業に関する文化遺産であり、稼働遺産を含む世界遺産は日本では初めてとなった。

というもの。

とくに萩からは、萩反射炉恵美須ヶ鼻造船所跡大板山たたら製鉄遺跡萩城下町松下村塾の5つの遺産が登録されており、今回はこれらを訪問した。

製鉄関連施設 - 大板山たたら製鉄遺跡、萩反射炉

大板山たたら製鉄遺跡は、江戸時代に利用されたたたら製鉄の遺跡。たたら製鉄というのは、スタジオジブリの「もののけ姫」に出てくる製鉄方法で、木材を燃料に用い、人力でふいごを動かして鉄を溶かす。木材が大量に必要になり、また近くの浜田市付近で砂鉄がとれたため、こんな山奥の地に作られたとか。

f:id:sobataro:20160312205620j:plain ↑大板山たたら製鉄遺跡における、製鉄炉の跡地。

ここで作られた鉄製品 (釘とか) が、後述する恵美須ヶ鼻造船所跡で建造されたロシア式の軍艦「丙辰丸」に用いられた。日本古来の伝統的な技術で作られた釘が、西洋式の軍艦建造に用いられたということで、日本の急速な近代化における過渡期を代表するような遺跡なのだと思う。

一方の萩反射炉は、江戸末期の1856年*1に、西洋式の大砲鋳造のために萩藩が築造した製鉄炉。反射炉というのは、石炭などの燃料と、精錬したい銑鉄とを別々に置き、炉内での熱の反射や高温のガスによって金属を溶かすもの。これによって、燃料由来の不純物が銑鉄に混入することを防ぎ、また銑鉄の融点である1200℃を超える温度まで加熱できるため、従来の製鉄法 (たたら製鉄とか) と比べ純度の高い、粘り気のある強い鉄を作ることができるようになった。

f:id:sobataro:20160312211451j:plain ↑萩反射炉の煙突部分。上部の赤い部分はレンガ。元々は漆喰に覆われていたらしい。写真左側を山陰本線が走っており、車窓からも見えるはず。

萩藩としては、この反射炉によって大砲を作りたかったらしいのだけど、どうも実用には供されず、試験炉として終わったらしい。理由は不明。。。

造船所跡

恵美須ヶ鼻造船所跡は、萩反射炉のすぐ近くにある造船所の跡地。1856年にロシア式軍艦「丙辰丸」を、1860年にオランダ式軍艦「庚申丸」を、それぞれ建造している。とくに丙辰丸は、萩藩にとって最初の西洋式軍艦であった。

f:id:sobataro:20160312212223j:plain ↑造船所跡。正直言ってなにもない。NPOの方が無料で説明をしてくださったおかげでイメージがわいたけど、それが無かったら結構ながっかりポイントだと思う。。。

ここでは軍艦を2隻建造しただけで、その後は放置されてしまった。これは1863年、萩藩が藩庁を山口市に移してしまい、これに合わせて主要施設も瀬戸内海側へと移転してしまったため。造船所といったら、建造する船に合わせて随時拡張し、操業を始めた頃のドックなんかは跡も残っていないものだと思うけど、このような事情によって遺跡が残ったようだ。

城下町と松下村塾

萩城下町は……あまりちゃんと見ていない。

f:id:sobataro:20160312213917j:plain武家屋敷跡地の夏みかん農園 (というか、農園にあった桜)。夏みかん栽培明治維新後の武士救済のために始まり、当時は夏みかん5個で米1升の価値があり、「夏みかんの木3本で子供を上級学校へ通わせられる」というほどだったらしい。今では普通のみかんの方が高価で、商業としての栽培は廃れてしまったとか。

f:id:sobataro:20160312213544j:plain ↑萩城下町の主要部とは少し離れているのだけど、一応当時の雰囲気のある旧湯川家屋敷。手前の川は江戸中期に開削された藍場川で、この川の水を敷地内・屋敷内に引き込んで家事に使えるようになっている。

松下村塾は、吉田松陰の実家杉家にある私塾で、その塾生として伊藤博文高杉晋作山県有朋久坂玄瑞ほか数多の著名人を輩出した。

f:id:sobataro:20160312213535j:plain松下村塾。杉家にあった小屋を改修して使ったとかで、かなり小さい。

松下村塾が「産業革命遺産」に入っていることを当初は疑問に思っていたのだけど、実は吉田松陰は、工学教育に関する先駆者というべき存在だった。吉田松陰は「学校を論ず、付けたり作場」という論文 (現代語訳) において、

  • 学校を作り、出身や身分を問わず優秀な者を集め、兵学、農学、暦学、算術、天文地理などさまざまな学問を自由に学ばせること
  • 学校に作業場を併設し、座学だけでなく実技も重視すること

を主張している。これはすなわち科学技術 (science based technology) の重要性を説いているということであり、松下村塾が「産業革命遺産」の構成要素とされている重要な根拠のひとつであるらしい。たしかにこれは重要な話で、「頭でっかちの学問バカやただの労働者ではなく、学問に基づく技術すなわち工学を身につけた技術者が必要である」という意味で、現代でもまったく色あせない内容だろう。

萩博物館 (企画展)

これは世界遺産ではないのだけど、萩博物館の企画展「城下町萩のひみつ〜迷宮へのいざない〜」は、まさにブラタモリ的な内容。萩市街には、上記以外にもさまざまな史跡や遺構が残っていて、江戸時代の古地図だけで市内観光ができる程なのだけれど、これはなぜか、というテーマの展示。その答えの概要としては、

  • 萩市街は江戸時代に毛利家によって開発され、
  • 明治維新前の藩庁移転によりその後の大規模な開発が行われず、
  • 明治維新後の夏みかん栽培により旧武家屋敷がそのまま残り、
  • 鉄道 (山陰本線) 敷設時には萩市街の三角州を迂回する形で鉄道が敷かれ、
  • 運河や堤防の築造によって町が大規模な水害を受けず、また壊滅的な地震津波もなく、
  • 太平洋戦争時には米軍の攻撃目標とされたものの、優先度が低かったため戦災をも免れ、
  • 戦後の開発時も旧市街から外れた低湿地 (もと田畑) に留まった、

という、多くの要因が関係している、ということだった。

感想

萩は本当にいろいろと見どころのある街で、世界遺産以外にもいくらでも見どころがある。今回は2.5日くらい萩周辺の観光にあてて、とくに萩市内はレンタサイクルで1日かけて回ったのだけど、まだまだ行けなかったところが多く残っており、またそのうち行きたい。

産業革命遺産という観点からは、吉田松陰の工学教育思想が思わぬ収穫だった。上記の論文「学校を論ず、付けたり作場」は至誠館 (松陰神社の宝物殿)に展示されていて、入館時には「この狭さで入館料500円はちょっと高くないか」と思ったのだけど、これだけでも十分もとが取れたと思う。また、吉田松陰という人がかなり潔癖というか高潔な人であったというのもよく分かった。尊敬に値する人物だと思う。

一方、萩反射炉や造船所跡、大板山たたら製鉄所跡については、一般人ウケが大変悪いらしかった。自分は事前知識があり、また科学技術史に興味があるため楽しめたのだけど、そのへんに興味のない人が「世界遺産だから」というだけで見に行っても、あまり楽しくはなさそう。とくに造船所跡はまだ主要部分の発掘調査が行われていて、説明書きや展示が著しく不足しているように思った。萩の史跡はどこも無料で説明をしてくれるNPOの方が常駐していて、説明を聞けばある程度楽しめるかもしれないけど、追加でちょっとした資料館を作ったり、主要な遺構 (たとえばたたら製鉄のふいごとか) を復元したりしてもいいと思う。

全体的にはとても楽しかった。江戸末期〜明治初期の歴史に興味のある人や、産業革命期の科学技術史に興味のある人は、ぜひ萩を訪問するとよいと思う。

参考文献

  • 世界遺産登録記念企画展 明治日本の産業革命遺産と萩」萩博物館
  • 松下村塾 吉田松陰と塾生たち」萩まちじゅう博物館出版委員会
  • 記事中の各地点における配布パンフレット類

*1:ちなみにペリー来日が1853年、明治維新による大政奉還が1867年

DEIM2016に行ってきた

DEIM2016 に行ってきたので、そのメモ。

D1-2 Shuntaro NAKANO: Search for Similar Marks for Detecting Trademark Infringement and Dilution

  • 商標
  • どちらもまずいので「同一の範囲」と「類似の範囲」が法的に定められている
  • 既存商標に対する類似商標を自動生成し,検索により発見したい

処理

  • 入力: (商標, 称呼, 商品役務) (e.g. (メガネの愛眼, メガネノアイガン, 眼鏡))
  • 候補生成処理:
    • 称呼類似
      • 既存商標の称呼から n-gram コーパスを生成して利用
      • e.g. メガネの愛眼 -> メガネのアイキャン
    • 外観類似
      • 画像的な類似性,今回は文字の形状を対象としHOG特徴量を利用)
      • e.g. メガネの愛眼 -> シガネの愛眼
    • 観念類似
      • 「意味類似度 (Word2Vec 多義性拡張)」と「観念醸成度 (WordNet 類義語)」により 単語間の観念類似度を用いる
  • 検索処理:
    • 聴き逃し

実験

  • 入力: メガネの愛眼
  • 出力例:
    • 眼鏡屋 (「眼鏡のアイ」とか)
    • その他 (eyeone (車屋))

感想

  • プレゼンがたいへんうまかった
  • word2vec と wordnet を組み合わせて「観念類似度」をつくる、というアイディアはよいと思う。実験結果がいまいち手法を活かしきれていない感じではあったが……

H2-2 - H2-4: 横浜国立大学 *3

  • EV (電気自動車) 関連の研究室による発表3件。
  • 道路を区分してそれぞれのエネルギー損失や走行時間を可視化したり、とか
  • EV のバッテリを用いて電力消費量のピークカット、とか
  • それぞれがどこかで聞いたような話ではあったものの、きちんとモデル化されてまとまっており、プレゼンも結構練習されているようだった

H4-2: 岡村 健太: 無線LANアクセスポイントを用いた店舗待ち時間予測

  • スマートフォンWi-Fi AP を探すときに出すプローブ要求を使って,店舗の待ち時間を予測する
  • OMNet++ を使ってシミュレーション

感想

  • 「シミュレーションではうまくいく」という話で、実現したら大変便利だと思うので、ぜひ実際に動かしてほしい

芝野 耕司: 日本データベース学会功労賞記念講演: SQL言語の開発と日本の貢献

  • 2日目午後は太宰府に行っており、この講演も聞いていないが、講演資料 が公開されており、これだけでもなかなか興味深い

H7-6: 小矢島 諒: ドライブレコーダデータと道路特徴を併用した潜在リスク箇所の判別に向けて

  • ドライブレコーダの車両軌跡・運転操作データと、道路の特徴 (坂道やガードレールの有無など) を利用して事故の危険性の高い箇所を特定
  • まあよくある話だけど、「ドライブレコーダと道路双方のデータを組み合わせて、 既存研究より精緻に判定したい」というもの

感想

  • こういうのはよくある話だけど、全国どこでも使えるようになったら大変よいし, 国の事業としてやってもらえないかなー
  • 質疑でつっこまれていたが、 「実際には事故が起きていないにも関わらず高リスクと判定された箇所」は、 本当に高リスクなのか誤判定なのか区別することは難しいだろうと思う。 とくに今回はデータが少ないということなので、大量のデータで交差検定すべきだろう。

H8-5: 横山 大作: 事故防止に向けたドライブレコーダデータからの運転挙動分析

  • ドライブレコーダデータから事故の危険性を評価したい
  • 安全運転者と事故者を比較すると、とくに中速域でのブレーキ時減速度が少し大きめになる
  • 運転挙動データ、道路データを使うことで、最大 F 値 >0.8 くらいで判定できる
  • (質疑) 保険屋さんがこういうのやってるけど、それとの関連とかは?
    • (回答) 保険屋さんのはもっと粗いデータ

感想

  • これを実用化した「安全運転度判定アプリ」みたいなものが使えたらよいと思う

全体的な感想など

  • 今回は交通系など、IoT 寄りの話を多めに見て回った。上記には書かなかったが、交通系データでテンソル分解がよく出てくるなど、なんとなく流行りの話が見えた……ような気がする。
  • 体調不良のため会場外での宿泊となり、インタラクティブセッションとBoFセッションに参加できず大変残念だった。またスケジュール確認ミスにより、興味のあった発表数件を見逃したのも痛かった。

自室環境モニタシステム (ひとまず完成)

自室の環境モニタシステムをひとまず完成させた。前回の記事 の続き。

システムの概要

  1. 各種センサを Raspberry Pi に繋ぎ、データを収集する
    • 気温・湿度・気圧センサ BME280: I2Cバス経由
    • コンセント電圧・電流センサ: Arduino の自作シールド
  2. データを蓄積する
    • CSV でデータを保存。
  3. 収集したデータを可視化する
    • Raspberry Pi を munin ノードにして、センサデータのグラフを確認できるように。

ハードウェア

  • 気温・湿度・気圧センサ BME280 はブレッドボード上に用意して、I2C バスで Raspberry Pi と接続。
    • 使用したセンサ BME280 はかなり高機能なもので、自前での補正はもちろん、内部に IIR フィルタを備えていたり、オーバーサンプリングまでできたりする。今回は分〜時間単位での天気の変化を見るために使ったけど、データシートには応用例として indoor navigation (温度・湿度・気圧でセンサがある部屋を検出) や gaming (気圧センサでプレイヤの標高というか姿勢を検出) なんかも載っている。今回の用途にはかなりオーバースペックだった。
  • コンセント電圧・電流センサは専用の Arduino シールドを用意し、ケース内にきちんとパッケージング。Raspberry Pi とは USB で接続。
    • 電流センサには SR-3702 を利用。前回の試作時に使ったものよりは安価。カレントトランスだけあってサイズが大きいので、ACS712 のようなホール素子型のモジュールを使ってもよかったかもしれない。

ソフトウェア

センサデータのグラフの例

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↑ 1週間分の温度グラフ。晴れの日は日中と夜間の気温差があり、雨の日は温度差が小さくなるっぽい。

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↑ 同じく1週間分の気圧グラフ。意外と上下している。

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自宅サーバの消費電力グラフ。動画のエンコード中は140〜150Wくらい、それ以外のアイドル時は80〜100Wくらい消費している。11月26日に消費電力が20Wくらい増えているが、これは HDD を1台増設したため。

感想と今後の課題

  • 今回はじめて I2C を使えたのはよかったが、BME280 の制御プロトコルがやや複雑で、データシート記載の制御プログラムまる写しになってしまったのはやや反省。次はもう少し単純な I2C デバイスにして、ライブラリとかは使わずに自分で制御してみようと思う。
  • 当初は自室の環境モニタリングをするつもりだったが、サーバの消費電力も監視できるようにしたため、設置場所がサーバのある廊下になってしまった。Arduino シールドと BME280 側とを分離して、ちゃんと自室というか居住環境の状況をモニタできるようにすべきかもしれない。
    • とくに温度と湿度を監視できれば体調管理に役立ちそうなので、これはぜひやりたい。
  • 今回使ったセンサ以外にも、臭気センサや照度センサなどを購入してあるのだけど、時間の都合 + 前述の設置場所の都合で、今回は組み込んでいない。時間ができたらこのあたりもモニタできるようになると面白いかも。

参考文献

歴史民俗博物館に行ってきた

千葉県佐倉市にある歴史民俗博物館の常設展を見てきたので、そのメモ。

展示内容

  • 展示室は、原始・古代、中世、近世、民俗、近代、現代の6つに分かれている。それぞれがとても広く、すべてをじっくり見学するには2〜3日は必要ではないかと思う。
  • 以下では印象的だった部分を一部紹介。

第1展示室 (原始・古代)

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↑ 過去5万年の日本列島における環境と人類の年表。9月に国立科学博物館で水月湖年縞の話を見てきていた こともあり、このあたりの話はよくわかった。

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↑ いかにもな感じの土偶。このあたりは歴史だけでなく美術の教科書にも載っていたりして、古代人の感性というのもなかなか捨てたものではないな、という感想。

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↑ 展示室と展示室との間にある休憩スペースに貼ってあった、博物館における研究を紹介したポスター。有機物であれば炭素の放射性同位体を調べることで年代測定ができるけれども、青銅器の場合には鉛の放射性同位体を調べることで、その原料産地が分かるらしい。博物館というと「市民に資料や展示を公開する場」というイメージが強いけれども、研究機関としての側面も持ち合わせているわけで、このあたりをもっと大々的にアピールしてくれたら自分などは喜んで見に行くな、と思った。休憩スペースに申し訳程度に展示するのでなく、専用の展示スペースがあってもよいのでは。

第4展示室 (民俗)

  • 今回歴史民俗博物館を訪れたのは、その名のとおり民俗に関する展示に期待してのことだった。ところが、民俗をテーマにした第4展示室に入るなり、三越 (かどこかその辺の大手デパート) の おせち料理 が大々的に展示されており、これが「展示」というよりも単なるデパートの一角のようになっていてがっかりした。このコーナーは撮影も禁止で、写真はない。
  • その奥に行くと、信仰や祭りなど、期待していたような民俗の展示があった。

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広島県庄原市の祭りである比婆荒神神楽で使われる龍。第4展示室では、この他に各地の土着信仰や観光葬祭、漁業や林業といった伝統的な職業に関する展示があった。このあたりはまさに自分が期待していた展示で、それぞれ特徴的でおもしろかった。

感想

  • とにかく広く、展示が豊富で圧倒された。ただし佐倉市という不便な立地で、何度も通うことは難しいのが残念。自分は第1展示室から順路にそってゆっくり見学してしまったので、最後の方はだいぶ駆け足になってしまった
    • 訪れた際には企画展示「大久保利通とその時代」も行われており、こちらも興味を引かれたが、そこまで見学するにはもう1日必要であった。
  • 第4展示室 (民俗) のおせち料理の展示だけは、何のための展示なのか、展示というよりも商品の宣伝をしたいのか、という感で残念だった。また、名前に「民俗」とつく博物館なのだし、民俗に関する展示スペースをもっと広くとってもよいのではないかとも思う。
  • 物販コーナーで、2008年に行われた企画展示である旅―江戸の旅から鉄道旅行へ―の図録が売られており、思わず購入してしまった。この企画展示は、江戸時代の徒歩による『旅』が、鉄道の開通によって『旅行』へと変化したが、そこで変わったもの、変わらないものを示したもので、ぜひ見学してみたかった。

参考文献

超安価オシロスコープキット DSO138 を買った

 中国 JYE Tech 製の超安価なオシロスコープキット DSO138 を買った。

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注文〜到着

 Banggood から$23.50で購入。中国からの発送なのに送料は無料で、10/31に注文し、8日後の11/8に届いた。

 このキットはデッドコピーが出回っているらしく、秋月にも¥3,780の純正品(?)のほか¥3,400の Sain Smart 製のパチモノがあるのだけど、Banggood は 2015-08 以降 JYE Tech から直接 DSO138 を仕入れているらしいのでたぶん安心。

組み立て

 袋を開封してから動作確認できるまでで3時間ほどかかった。とくに抵抗が、カラーコードの区別が難しいもの (茶色っぽい赤とか、剥げていたりとか) があったりして、ぜんぶテスターで確認しながら作業する必要があって時間がかかった。

 また組み立てに使うはんだごてについて、説明書には20Wのものを用意するように書かれているけどこれでは出力不足。今回は40Wのものを使ったのだけど、それでも GND 周りやプローブのコネクタ (特に後者) のはんだ付けには結構時間がかかった。

動作確認

 組立後、マニュアルにしたがって動作確認をするとどうもおかしい。3.3V ラインに 1.5V 程度しか供給されていなかったり、 LCD を繋いでみるとすぐにホワイトアウトしてしまったりする。いろいろ調べてみるとレギュレータ U5 が触れないほど熱くなっていて、実は 9V と書かれた手持ちの AC アダプタが 12.2V を出力していることが判明した。他に AC アダプタが無かったので、とりあえず安定化電源から 9V を供給したところ、正常に動作した。AC アダプタの問題とはいえ、マニュアルには“8-12V”が使える、と書いてあるんだけどなあ……。

f:id:sobataro:20151112014613j:plain ↑商用電源の波形を見てみたところ。一応トランスで降圧 & 絶縁してある。

感想

 まだまともに使っていないけど、やはりオモチャ程度かなあ、というのが正直な感想。常用するには操作性が悪すぎるし、画面は 2.4inch と小さく、チャンネルが 1ch だけ、アナログ帯域も 200KHz までなので、ちょっとした用途にしか使えない。せめて 2ch あれば……。まあ値段を考えれば全く文句はないのだけど、$50くらいでこのへんが改善されたキットがあればいいなあ、と思った。

 あと、波形データを本体内部のフラッシュメモリに保存できるらしいけど (未確認) 、そのデータか画面のハードコピーをシリアルポートから取得できたら大変よかった。

 抵抗値さえまじめに測れば組み立て難易度は高くないし、オモチャとしては悪くない。でも使っているうちにまともなオシロスコープがほしくなりそう。

参考文献

江戸東京博物館に行ってきた

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つい先日、江戸東京博物館の常設展を見てきたので、そのメモ。

(この建物、ビッグサイトの屋根部分(?)をひっくり返して白くしたらそのものだよな……とか思った)

www.edo-tokyo-museum.or.jp

展示内容

江戸ゾーンと東京ゾーンに分かれ、それぞれ江戸時代と明治〜現代の展示がある。とくに江戸時代〜第二次大戦頃までの歴史・社会・文化に関して、大量の展示と分かりやすい説明がある。展示には英語が併記され、多くの外国人が訪れていた。また体験学習のできる展示も多く、小中高校生も多数見学に来ていた。

f:id:sobataro:20151030003510j:plain ↑江戸ゾーン側の入り口すぐにある中村座の原寸大復元模型。これと下記の朝野新聞本社とを区切る形で、日本橋の原寸大復元模型が館内に架かっている。

f:id:sobataro:20151030003735j:plain ↑東京ゾーン側にある朝野新聞本社ビルの原寸大復元模型。

展示内容が多岐にわたっているため、以下では気になった部分をピックアップして紹介する。

f:id:sobataro:20151030004741j:plain明暦の大火の展示。江戸は何度も大火災に見舞われているが、これはその中でも最悪のもので、3日間に渡って江戸市街地の大半が消失したらしい。そのような大規模な火事があったこと自体も知らなかったが、この火事からの復興にあたり大規模な市街地整理が行われ、延焼を防ぐための火除地 (防火用の空地) や広小路 (幅の広い道路) が整備された、とのこと。

f:id:sobataro:20151030005358j:plain菱垣廻船の1/10サイズの模型。上方と江戸とを結んだ貨物船で、日本海側から山陰・下関・山陽方面を通って江戸へと至る西回りのルートと、同じく日本海側から秋田・青森・岩手を経て江戸へ向かう東回りのルートとがあり、長距離だが安全な西回りと短距離だが危険もある東回り、という違いがあったらしい。

f:id:sobataro:20151030010141j:plain こちらは時代が明治になり、1890年に浅草に建てられた浅草十二階こと凌雲閣の模型。どこかで「エレベータが設置されていたものの不具合続出ですぐに運行を停止した」というような話を聞いたことがあったのだけれども、展示にも「オープン当初は運行されていた」みたいな書き方がされていたので、どうやら正しいっぽい。当初は人気があったらしいが次第に衰え、1923の関東大震災で上部が崩落すると、そのまま再建されることなく陸軍によって爆破解体された。

f:id:sobataro:20151030010617j:plain ↑さらに時代が下って第二次大戦中、日本で製造された風船爆弾の模型。日本本土から放たれ、ジェット気流に乗ってアメリカ本土を爆撃することを狙った。実際にアメリカ側に犠牲者 (確認されているのは6人) も出ているが、その事実は報道管制により日本側に伝わらなかった、とかなんとか。アメリカ側は生物兵器やテロリストの潜入に使われることを恐れていたらしいが、それは実現しなかったようだ。写真下にあるのは米軍の爆撃で折れ曲がった日本の鉄骨。

感想

  • 江戸〜現代の東京と日本の歴史について、広く勉強することができた。歴史の教科書では名前と年号しか出てこないような事柄も、その実物や時代背景を見て触って感じることができて、これこそが勉強のあるべき姿ではないかと思うし、その点についてとてもよい博物館だと思う。
  • 外国人と小中高校生がとにかく多かったのが印象的だった。また外国人向けの多国語の解説もそこそこ充実しているようでよかった。
    • 富岡製糸場にも最近行ったが、あちらは世界遺産になったにも関わらず説明パネルがすべて日本語だけで、これから準備するのかもしれないが、現状はとてもよくないと感じたので……。
  • 展示が膨大、かつ質的にもすばらしいもののようだったが、あまりにも量が多くて最後まで見る前に疲れてしまった。とくに後半の東京ゾーンは駆け足に流してしまったので、またそのうち行きたい。
    • 常設展と展覧会「浮世絵から写真へー視覚の文明開化ー」とのセットの入場券を買ってしまったので両方とも見たけれども、後に見た展覧会については「見学する」というよりも「眺める」というような見方になってしまったことが悔やまれる。このような広い博物館は、常設展と特別展は別の機会に見学するか、あるいはまる1日を費やすつもりで、ゆっくり休憩をとりながら見て回るのが正しいようだ。

参考文献

江戸東京博物館―遊び尽くす400年の時の旅 (小学館文庫)

江戸東京博物館―遊び尽くす400年の時の旅 (小学館文庫)

日本の秘密兵器 陸軍篇 (学研M文庫)

日本の秘密兵器 陸軍篇 (学研M文庫)

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